食の誤用言葉|「お名前様を頂戴できますか」と言われても大事な名前はあげられません!
食品のカラクリシリーズ/食の誤用言葉
お名前様を頂戴できますかと言われても大事な名前はあげられません!
■「お名前様」は接客業で使われる丁寧過ぎて実は誤用で失礼な言葉
予約や通販などへの受付や電話を掛けた際に、時々、オペレーターから「お名前様を頂戴できますか」と聞かれます。係員は丁寧にお客のこちらに聞いたつもりでしょうが、逆に失礼な言い方で、これも敬語の誤用の1つです。
間違いは、2つあります。まず「お名前様」という言葉です。名前という単語に「様」を付けさえすれば、敬意が高まると勘違いをしたのでしょうね。「名前」は相手そのものを示していますが、この言葉自体に人格がある訳ではありません。従って、「お名前」で十分なのです。2つめが、「頂戴する」という表現です。頂くや頂戴するは、「もらう」の謙譲語です。普通に言えば「あなたの名前をもらってもいいですか」になり、おかしいことに気付くはずです。名前は品物ではありませんから、人にあげたり、もらったりすることはできません。
「お名前様を頂戴できますか」って聞かれて、うっかり名前を人にあげてしまえば、私は“名無しの権兵衛”さんです(古い言い方・苦)。正しくは、「恐れ入りますが、お名前をお伺いできますか?」です。毎度、食の誤用言葉に“ご出演”の北原保雄先生は、親切な指摘をします。丁寧語の「〇〇様でございますか?」より、上級な「〇〇様でいらっしゃいますか?」(尊敬語)を使ったほうがよいと言っています。